子どもの目の病気は予防することが難しく、
いかに早く発見できるかが重要です。
視力の発達には感受性期があり、生後0歳〜8歳位までの間に発達し完成すると言われています。
斜視や、強い屈折異常(遠視・乱視・近視)により、この視力の感受性期に視力の発達が障害されてしまうと、弱視になります。
代表的な3つの下記症状について、ご紹介いたします。
1.屈折異常(遠視・近視・乱視)
2.斜視
3.弱視
1.屈折異常(遠視・近視・乱視)について
目はカメラに例えると、「水晶体」がレンズ、「網膜」がフィルムの役割を担っています。
網膜上できちんと像を結ぶ状態を「正視」といいます。
裸眼でくっきりと物を見ることができます。
遠視 | 光が網膜よりも後方で像を結び、近くが見えにくくなります。 |
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近視 | 光が網膜よりも前方で像を結び、遠くが見えにくくなります。 |
乱視 | 光の入ってくる方向によって像が結ぶ位置がずれるため、二重に見えたりします。 |
お子様の視力低下は遠視に注意!
幼児期に注意したいのが、近視よりも遠視です。
3歳児検診などで遠視が判明することも多いのですが、検査に不慣れなお子様の場合は、見逃されてしまうことも少なくありません。
原因のほとんどは、目の成長不足ともいわれており、成長するにつれて改善されることが多いです。
しかし、遠視が強い場合には遠方・近方ともに見えにくいため、そのままにしておくと視力が発達せず、弱視や斜視につながることもあります。
その他にも、目の疲れ、集中力の低下、落ち着きがないなどの症状も、実は遠視が原因の場合も考えられます。
お子様が斜めにものを見ていたり、近くでも目を細めているような場合は、早めにご来院ください。
<治療>
小児の屈折矯正は、眼鏡を第一選択とします。
眼鏡の度数も成長とともに変わるため、定期検査が大切です。
※コンタクトレンズ装用者の低年齢化が進んでいます
コンタクトレンズは、スポーツや眼鏡で十分な矯正視力が得られない高度乱視などの場合に適しています。
成長期の目や自己管理が難しい年齢層では、早期からの装用は取り扱いには十分注意が必要です。
2.斜視について
目の位置も視力に関わる重要なサイン!
斜視とは、左右の視線が同じ方向に向かないことを言います。
斜視を放っておくと両眼視機能の発達が弱くなり、いつも同じ片目ばかりずれている場合は、
その目の視力が弱くなる可能性があるため、治療が必要です。
斜視は、日常生活の中でも気づきやすく、家族の方が目の位置がズレていることに気づき、来院されるケースも多いです。
両眼視機能とは?
左右の目でとらえた映像を脳が一つの見やすい映像に修正し、立体感を生み出す働きの事です。
<種類>
斜視は目の位置によって、内斜視・外斜視・上斜視・下斜視に分けられます。
<治療>
治療には、手術による方法と手術以外(眼鏡など)の方法があります。
斜視の種類、程度、年齢、体の状態によって選択します。
治療の目的
1. 両目の向きをまっすぐにそろえる
2. 視力が正常に発達するよう促す
3. 両眼視機能の発達を促す
3.弱視について
お子様の視力を守るために、眼科で早期発見!
弱視とは、何らかの原因で視力が正常に発達しなかった状態を言います。
視力が正常に発達するためには、常に網膜にピントの合った像が映ることが必要です。
しかし、生後または乳児期に網膜に映る像をぼかすような病気があると、
視力が発達しなくなってしまいます。
したがって、原因疾患を除いただけでは視力は回復しません。
視力の発達期間を過ぎてしまうと、治療の効果も低くなってしまいます。
弱視の原因はさまざまですが、遠視が原因の場合は眼鏡をかけて矯正をしていきます。
検査用の目薬を使い、お子様の正確な屈折値を調べ弱視眼鏡を合わせ視力の発達を促します。
また、弱視眼鏡のみでは視力の発達が不十分なお子様、斜視弱視で固視の悪いお子様には、
アイパッチ(遮蔽具)や目薬を使い、弱視訓練を行っております。
当院の弱視治療は、国家資格である視能訓練士免許をもつ専門スタッフが検査にあたり、
お子様の発達やペースに合わせ、検査・治療をサポートさせていただきます。
弱視は治るの?
適切な時期に適切な治療を行えば、ほとんどの場合治ります。
弱視の程度が強いほど、年齢が幼い時期に治療を開始しなければ治らなくなります。
ただ、弱視が治っても(眼鏡で視力が出るようになっても)屈折異常がある場合には、
屈折異常まで治っているわけではないので、眼鏡は必要になります。
弱視が治ると裸眼視力も良くなることがありますが、このような場合に眼鏡を取ってしまうと、
また弱視に戻ってしまうこともあるので、屈折異常があるうちは眼鏡を外さない方が安全です。
お子様の視力チェック
下記の症状がお子様にありましたら、目に関係がある場合があります。
- 目を細める
- 視線がズレることがある
- テレビを近くで見たがる
- 目が白く光る
- 片目をつぶって物を見る
- 明るい所でまぶしがる
- 片目を隠すと嫌がる
- 集中力がない
- 横目で見る
- あきっぽく、落ち着きがない
- 顔を回し、頭を傾けて見る
- よく転ぶ
- 顎を上げたり、下げたりして見る
- 頭痛を訴える
小さなお子様は症状を訴えないことが多いです。
そのため、ご家族の方は理解を深め、
日常の中で見えにくそうにしている時がないかなど、見守っていただくことが大切です。
異常に気づいたら早めにご来院ください。